吹替支持者を自認するわたしですが、何でもかんでも吹替で観ればいいというわけではありません。

ストーリー性の希薄な前衛映画などは、吹替で観ても作品の意図するところがよくつかめなかったりします。『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』など、台詞がすべて歌になっているようなミュージカル映画の場合は、そもそも吹替版を作ること自体不可能でしょう。

ところが、吹替版で観たほうが原語で観るより明らかに楽しめる、という作品もたくさんあります。

たとえば、日本でもそれなりにヒットした香港のコメディ映画『ミスター・ブー』。ホイ3兄弟のドタバタギャグは原語で観ると、けっこうのほほんとしているのですが、マイケル・ホイを広川太一郎、弟のリッキー・ホイとサミュエル・ホイをツービート(!)が演じた吹替版は、速射砲のようにアドリブが飛び交うスピーディーなコメディ映画に様変わりしていて、面白さ2割増なんですよ。

広川太一郎といえば、『ビーン』の吹替。そう、あのミスター・ビーンのことです。えっ、ミスター・ビーンてしゃべらないんじゃなかったっけ、と思ったアナタは広川太一郎のすごさをご存知ないようですね。原語では一言も口をきかないビーンに「なんとかしちゃったりして~」とか勝手にセリフをつけてしまう、これが広川節なのです。これもぜったい日本語吹替のほうが面白いと思うんですがねえ。



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