よく吹替版は、オリジナルの俳優に似た声質を持った声優を起用していると思われがちですが、まったくそんなことはありません。いや、もちろん極力オリジナルの声質に近い声をキャスティングする例もありますが(たとえばディズニー映画)、俳優よりもむしろ映画のキャラクターのイメージに合わせたキャスティングのほうがより効果的です。

たとえば、ケヴィン・コスナーの声は、ほとんど津嘉山正種という方がアテています。津嘉山さんは、「躍る大捜査線」などのTVドラマにも出演している俳優で、重厚な声質に特徴があります。ケヴィン・コスナーの勇ましいアクションには実にぴったりな声といえますが、実際に原語でコスナー本人の声を聞くと、妙にしわがれていてあまり格好良い声とはいえないんですね。いや、はっきり言って悪声なんです。

クリント・イーストウッドの声も山田康雄が定番でしたが、これも必ずしもイーストウッド本人の声とは違います。だけれど、われわれにとっては、山田康雄の声こそがイーストウッドの声のようにすでにして認識されてしまっているんですね。

一方で、ロビン・ウィリアムズの山寺宏一のように、本人と声優の声質にあまりへだたりがない場合もあります。もっともウィリアムズの場合は、山寺以外に彼の芸達者ぶり(「アラジン」の魔神ジーニーの声は圧巻)を表現できる声優がいないということも理由ではあります。



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